スイマーにおススメの8つの栄養素

Aaron Schwartz M.S., R.D., L.D.

Aaron Schwartz:ケンタッキー大学の講師兼ディエテティックインターンシップディレクター。Aaronは、ケンタッキー大学で栄養学の学士号と修士号を取得し、2010年より登録栄養士として勤務し、Bluegrass District Dietetic Associationの理事長を兼務している。選手たちと共に、高校のサッカー選手のためのスポーツ栄養教育プログラムを開発・実施した。趣味はランニング、サイクリング、スイミング。最近では2014年7月にインディアナ州のMuncieで2回のハーフ・アイアンマンレースを完走。

栄養素はアスリートたちのトレーニングにおいてとかく軽視されがちだ。7年間栄養学を研究してきて、栄養に関して苦労する人たちと多く関わってきた。原因の一つとしては、多くのアスリートは栄養学をトレーニングの一部だと考えないということ。他の物事と同じで、栄養学も結果の継続的な観察が必要だ。もちろん、トレーニングにおいて特に意識しなくても、単に「摂取する」ということだけを求めるのであれば適切な食事というものは必須ではないだろう。身体というのは極めて効率的で、どんなジャンクフードも燃料に換えてくれる。とはいえ、ワークアウトの効果を最大化にするために、そして潜在能力を完全に引き出すために、栄養学はトレーニングの一環としてだけでなく、トレーニングの最重要項目としてみなされるべきだと思う。もし栄養という投資を健康維持のために続ければ、メンタル面、パフォーマンスが共に向上することは私が保証する。世の中でもてはやされる、楽で奇跡のような食事が、結局は成果を生まないということでがっかりすることはよくあることだ。健康投資のためには、そういった世の中の情報には耳を貸さずに、とにかく本物の食べ物を口にすること、健康的な食事というものを継続的に取っていくことから始めることをお勧めする。

1.ワークアウト時以外は複合糖質(複合炭水化物)を取る

アトキンスダイエットでもパレオダイエットでも、最近はやりのダイエットのほとんどにおいて糖質は徹底的に悪者扱いだ。しかし糖質は本質的には体に悪いものではない。ただ西洋の食事において過剰摂取だという点は同感だ。とはいえやはり、糖質はアスリートの親友とも言うべき存在であることに変わりはない。糖質の多い食事は特に有酸素運動のアスリートには有益で重要であることは研究に研究を重ねた結果、証明されている。簡単に言えば、糖は身体の燃料通貨のようなものなのだ。糖質ほど効率的に燃焼する栄養素は他にない。摂取カロリーにおいて糖分大部分を構成すべきだという点は、The Academy of Nutrition and DieteticsもThe American College of Sports Medicine and the Dietitians of Canadaも皆同意見なのだ。数字が欲しいところだろう。幅はあるが、<体重1kgあたり6〜10gの糖質が推奨されている。スイマーやその他の有酸素運動系アスリートであれば、およそ8-10g / kgが必要となる。体重72.5kgであれば、580-720gということになる。1 実際のワークアウトをする時以外であれば、単純糖質を取るようにしておこう。豆類(レンズ豆、ソラ豆、インゲン豆、大豆、エンドウ豆など)、全粒粉(オーツ麦、玄米、全粒穀物パン)、フルーツ、野菜などから摂取できる。

2.ワークアウト直前直後、ワークアウト中は単純糖質を取る

特にアスリートにとっては単純糖質はいつも悪者というわけではないということに驚く人もいるかもしれない。単糖は名前の通り直ぐに消化されるため、血糖値を急激に上げる。ということで、例えば運動中に血糖が活用されなければ、脂肪細胞に蓄積するはずが、ここで矛盾が生じる。逆に、筋肉のための燃料として、単糖は急速に燃焼するのだ。スポーツドリンクはこの良い例で、ドリンクに入っている炭水化物は単純糖質で、ワークアウト中には即エネルギーとなるすばらしい燃料となる。単純糖質はワークアウト直後も重要な役割を果たす。この後解説する、運動後のインスリン反応によるものだ。単糖は他にもプレッツェルや蜂蜜、フルーツなどに含まれる。

3.ワークアウト前にプロテインを少し取ると長持ちする

ワークアウトの前にプロテインというと、違和感を覚えるかもしれないが、少量のプロテイン摂取は、筋肉の回復をワークアウト前から準備する効果があるのだ。現に、ISSNは体重1kgあたり0.15~0.25gのプロテインをワークアウトの1時間程度前に取る事を推奨している。(体重72.5kgの人であれば15gほど)2 理由はと言うと、ワークアウト前にプロテインを摂取すると、窒素バランスが整い、筋肉へのプロテイン吸収が上がるからだ。そして筋繊維のダメージを防ぎ、空腹を感じるのを遅らせる事ができる。飽満感が上がり、トレーニング中に空腹を感じることを防いでくれるという事だ。

4.ワークアウト後は糖質3~4:プロテイン1の割合で摂取する

ワークアウト後のプロテインの効果はもはや言うまでもない。実際、プロテインは筋肉強化だけでなく効果的な回復においても欠かせないものだ。しかしワークアウト後は炭水化物もプロテインと一緒に摂取することが重要だとは知らない人もいるかもしれない。炭水化物はグリコーゲンを補充するだけでなくインスリン反応を大きくしてくれる。インスリンは糖を運ぶ時にアミノ酸(プロテインの積み木ブロック)も一緒に、筋肉細胞を含む細胞へと運び入れる。この様にプロテインの効果を高めることができるのだ。目標としては、炭水化物3~4:プロテイン1の割合で、プロテイン1gあたり3~4gの糖質を摂取するということだ。ココアミルクが良い代表例だろう。

5.プロテインは量より質

プロテインを取る事にとらわれすぎないように気をつけよう。The Journal of the Academy of Nutrition and Dieteticsの最近の記事によると、30gのプロテイン摂取と90gとでは吸収と合成においてあまり違いが無いとのことだ。3 筋肉中で合成されないのであれば、その60g分のプロテインはどこへ行ってしまうのだろう? ほとんどは脂肪細胞へと蓄えられることになる。つまり重要なのはプロテインの質なのだ。栄養士が流行らせたいワードで言うと「高生物学的価値」のあるプロテイン、HBVプロテインで、プロテインのパフォーマンスの高さを説明する言葉だ。HBVプロテインには、人間に必要な全ての必須アミノ酸を含んでいるため、ワークアウト後の筋肉修復を大きく助けてくれる。全卵、牛乳、魚、牛肉そして大豆がHBVプロテインにあたる。ベジタリアンの人も大丈夫。必要なアミノ酸を網羅できるように、野菜をしっかり組み合わせて取れば良いのだ。

6.バランスが命

「バランスの良い食事を」というのはもう聞き飽きただろう。しかし、この定説はやっぱり正しい。なぜバランスの取れた食事がそれほど重要なのかというと、それは身体に必要なビタミンとミネラルをしっかりと取る必要があるからだ。これらの微量栄養素の占める割合はとても小さいけれども、健康とパフォーマンスにおいて重大な要素なのだ。たとえば、リンは必須ミネラルでエネルギー単位に欠かせないもので、 ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる。カルシウムは骨の健康に必要なだけでなく、筋肉の収縮力を助ける上で不可欠だ。ビタミンB1とチアミンは炭水化物代謝に必須で、その他のビタミンとミネラルは赤血球の合成とアミノ酸の合成、エネルギー産出と抗酸化機能に必要で、どれもパフォーマンスの最大化において重要な役割を果たしている。バランスの整った食事に含まれるべきものは、複合糖質、赤身の肉、乳製品に、豊富な野菜と果物で、カラフルであればあるほど良い。

7.筋肉作りにはビタミンD?

これらの微量栄養素の中でも、ビタミンDはスポーツパフォーマンスの分野で人気を増している。骨の健康における役割に加えて、今ではビタミンDは筋肉の健康と強さへの効果が研究されているところだ。ビタミンDは筋肉合成と筋肉収縮において重要だということがわかっている。さらに、ビタミンD不足の人の特徴に、筋肉の虚弱化も挙げられた。4 ビタミンDが含まれる食べ物は極めて少ないのだが、毎日摂取することと合わせて、15分間の日光浴が必要だ。これは特に屋内でトレーニングせざるを得ない冬場のスイマーにとっては難しいかもしれない。実際のところ、ビタミンD不足のスイマーは多いようだ。5,6  ビタミンDを取れる食べ物は、脂身のある魚(マグロ、サケ、サバ)、チーズ、卵黄、強化ミルクだ。ある研究によると 4000 IU (100 mg)のビタミンDをNCAAの水泳選手とダイバーに補給したところ、ビタミンDの保持において効果があったということで、要注目だ。7 担当医師にまずは相談してほしい。

8.水分補給

「スポーツのパフォーマンスを上げる上で最も重要な栄養素は?」とアスリートに聞くのが好きだ。水分だと思うだろうか。実際その通りなのだが、アスリートたちにはどこかないがしろにされているような気がする。脱水症状によって身体の機能はおよそ30%も低下する。有酸素運動のアスリートにおいては、体重の2.5%分の水分が失われるだけで45%ものパフォーマンス低下につながる。8 適切な水分量を保持することで1位になるか2位になるかが決まってしまうほどなのだ。水分補給状態を最も正確に把握するには、尿の色を見ることだ。ワークアウト後の体重変化は、ワーくアウトで失われたものを補充する目的でこそチェックされるべきだ。常に尿が薄黄色であるように努力して、ワークアウト後1ポンド(0.45kg)体重が減れば16-24オンス(473ml~710ml)の水分補給をするようにしよう。

参考文献:

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  2. Kerksick C.、et al。(2008)。国際スポーツ栄養学会の立場:栄養素のタイミング。国際スポーツ栄養学会誌、 5:17-29。
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  4. Moran D.、McClung J.、Kohen T.&Lieberman H.(2013)。ビタミンDと物理的性能。スポーツ医学、 43:601-611。
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  6. Halliday、TM、Peterson、NJ、Thomas、JJ、Kleppinger、K.、Hollis、BW、&Larson-Meyer、DE(2011)。大学アスリートの食事、生活習慣、怪我、病気に対するビタミンDの状態。スポーツ&エクササイズにおける医学と科学、 43、335-343。
  7. Lewis、RM、Redzic、M.、&Thomas、DT(2013)。大学生のスイマーやダイバーに対するビタミンDサプリメントの効果。スポーツ栄養と運動代謝の国際誌、 23、4 31-440。
  8. Jeukendrup、A.、&Gleeson、M.(2010)。スポーツ栄養:エネルギー生産とパフォーマンスの紹介(第2版)。シャンペーン、イリノイ州:人間の動態。

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