ドリルを時間の無駄だと考えるコーチもいますが、私はそうではありません。ドリルは、新しい泳法や異なる泳法を教えるのに最も効果的な方法だと言っても過言ではないと考えています。しかし、スイマーはドリルだけをやっていればいいというわけではありません。 ドリルは、スイマーが正しい動作や技の感覚を理解するのに役立つかもしれませんが、すぐに自分のものとして実践する必要があるのです。
私のクラブでは、ドリルのためだけのドリルは決して行いません。一般的にドリルは、スイマーに1つの基本的な技術を教えるように設計されています。人間の脳は、一度に2つのことを考えることができません。もし、1つのドリルで2つの技術を同時に教えようとすると、スイマーはおそらく両方を習得する事ができないでしょう。一度に1つの技術を集中的に習得する方が良いのです。
水泳の学習速度や運動神経の発達のための運動感覚は、人それぞれ違います。一回で覚えるスイマーもいれば、10回、20回、30回と繰り返してやっと理解する人もいます。また、スイマーによっては、他者に比べて、より効果的なドリルがあることもわかっています。そのため、私たちはより効果的に指導するために、さまざまなドリルを使用し練習を行っています。ドリルの正しい習得にどんなに時間がかかっても、スイマーはすぐに泳いでそのテクニックを実践する必要があるのです。ドリルが正しく行えていても、泳いでいる間にまた同じミスをするようでは意味がありません。
例えば、自由形で一方の腕のインスイープやアウトスイープに問題がある場合、問題のある腕だけを使ったワンアーム・ドリルを50回行い、その後50回泳ぐというようにします。泳ぎがうまくいくように、特別な器具や道具を使う必要があるかもしれません。ドリルと泳ぎで、スイマーが正しくプル動作を行えるようになるまで、どんなに時間がかかっても、止めてはいけないのです。
ゆっくり泳いでいるときに正しい泳ぎができることを確認したら、次はスピードを上げて、速く泳いでいるときにも同じように正しい泳ぎができるかどうか確認します。速く泳ごうとすると、せっかく覚えたことをすべて失ってしまうことがよくあります。レースの最中には、良い技術というものは、しばしば消え失せてしまうものなのです。
ドリルは、正しい技術で速く泳ぐことが究極の目標です。それにより、スイマーはさらに速く泳ぐことができるのです。
私がドリルを好きな理由についてのこの記事を読んで理解し、
これからドリルを楽しんで頂けたら嬉しく思います。